• 減給通知書とは?懲戒処分で適用できる限度額など解説!

減給通知書とは?懲戒処分で適用できる限度額など解説!

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減給通知書とは?懲戒処分で適用できる限度額など解説!

会社で減給処分者が出た場合、減給についてのことを減給通知書で知らせなければなりません。しかし、従業員就業規則を定めてから減給処分者が出るのが初めての場合は、減給通知書の雛形(テンプレート)が会社にない場合もあるでしょう。

減給通知書はどういったケースで作成する書類なのか、減給額はどのぐらいが基本なのかといった減給通知書に関する事をまとめてみたので紹介します。無料のテンプレートもダウンロード出来ます。

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減給通知書とは?懲戒処分で適用できる限度額など解説!

減給通知書を出す場合にも注意点などが様々あります。作成する時にまずは問題がない減給通知書の作り方を理解しましょう。従業員や社員に処分を下す場合に作成する書類ですが、減給を受けた側は非常にショックな事です。減給通知書を作成するケースはどういった場面なのか、減給できる限度額はいくらぐらいなのかについて解説します。

減給通知書とは?

従業員に就業規則(従業員規則)に反する行為があって減給の懲戒処分をする際、雇用側は減給があることを当人に知らせる必要があります。

つまり、減給通知書とは、減給の懲戒処分を受けた従業員に対して、減給されることや、いくらぐらいの減給があるのかなどの減給に関する内容を通知する書類です。

減給は本人にとっては重大なことです。就業規則に違反した従業員に懲戒処分を言い渡すのは口頭であることが多いですが、懲戒処分の内容を口頭で説明しただけでは、聞き忘れや聞き間違いが起きる可能性があります。

そうしたことがあるとトラブルの原因となってしまいますよね。

減給の懲戒処分が下された理由や、いくらぐらい減給されるかといった内容を減給通知書という書式で文書にしておけば、口頭で説明しただけだと起きてしまう可能性のあるトラブルの発生を未然に防ぐことができます。

懲戒処分で減給できる?

そもそも、懲戒処分で減給することはできるのでしょうか。答えとしては、懲戒処分によっては減給が無い場合もあります。減給が無いのに通知書を出すと色々と問題があります。ここでは、減給通知書の作成が必要となるケースについて解説します。

懲戒処分の種類は?

懲戒処分とは、企業が従業員に対して行う労働関係上の不利益措置のうち、企業秩序違反行為に対する制裁で、具体的には7種類あります。処分が重くなる順に、

1.戒告
2.譴責
3.減給
4.出勤停止
5.降格
6.諭旨解雇
7.懲戒解雇

となります。

「戒告」は、口頭での注意です。注意するだけで実務上の処分はありません。そして、何らかの違反や不祥事を起こした従業員に対して始末書を提出させるのが「譴責」です。

本来ならば、支給されるべき賃金の一部を差し引く処分となるのが「減給」で、懲戒処分を受けた従業員に対して減給通知書を作成しなればならなくなるのが、この減給の懲戒処分の場合です。

「出勤停止」は、従業員の一定期間の出勤を禁止する懲戒処分で、役職がある従業員に対して、その役職や職位・資格の引き下げ処分を下すのが「降格」です。

そして、もっとも重い懲戒処分が「解雇」ですが、この解雇には、従業員と雇用側の両者が話し合って納得したうえで解雇処分を進める「諭旨解雇」と、雇用側が従業員との契約を一方的に解消する「懲戒解雇」があります。

減給できる懲戒処分は「減給」処分のみ?

従業員の減給ができるのは、減給処分のみですから、すべての懲戒処分で減給があるわけではありません。そのため、懲戒処分の内容が戒告や譴責だった場合は、減給通知書を作成する必要はありません。

また、出勤停止や降格の処分の場合も、出勤の停止期間は賃金の支払いが発生しませんし、役職が降格したことで役員手当(報酬)がなくなるなどして、結果的に支払われる給与の額が減りますが、それは減給処分によるものではないので減給通知書を作成する必要はありません。

減給の限度額はどのくらい?

懲戒処分による減給にはルールが定められていて、減給できる額にも限度が設けられています。限度額を超えた減給は出来ませんので注意する事が必要です。気分次第で減給額を決められませんので、どの程度まで減給が可能なのか詳しく確認する事が重要になります。

減給に関することは労働基準法に定められている?

労働基準法によって、懲戒処分で減給できる額が決められています。労働基準法第91条の規定では、

【(制裁規定の制限)
第九十一条 就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。】

となっています。就業規則で減給に関することを定める場合、上記の労働基準法の範囲内にしなければならないことになっています。

基本的な減給の限度額の計算方法・その1

労働基準法で定められている減給の減給額のルールは、

〇1回の問題行動に対する減給処分は1日分の給与額の半額
〇1回の月給の総額の10分の1以下

という2つです。そのため、基本的には、

『1日分の給与額の半額×減給処分の回数』

がその月の月給からの減給の限度額になります。ただし、就業規則で定められている減給の限度額が、労働基準法で定めている範囲より少ない額であった場合は、就業規則に定めた額で計算しなければなりません。

つまり、就業規則で1回の問題行為に対する減給処分は1日分の給与額の3分の1となっていたら、

『1日分の3分の1 ×減給処分の回数』

が、その月の月給からの減給の限度額になります。また、労働基準法のルールで計算しなければならないのは、従業員の問題行動に対して懲戒処分での減給の場合のみです。

そのため、従業員との合意による減給の場合であれば、労働基準法で定めている範囲以上の額の減給をしても労働基準法違反にはなりません。

基本的な減給の限度額の計算方法・その2

「1回の問題行動に対する減給処分は1日分の給与額の半額」なので、従業員の問題行為の回数が月に6回あったら、

『1日分の給与額の半額×6』

という計算となります。また、1か月の間に複数回の減給処分をする場合は、「1回の月給の総額の10分の1以下」というルールのことも考えて計算しなければなりません。

減給処分の回数が複数回あっても、月給の10分の1以上の減給をすると労働基準法違反となってしまいます。もし、減給額が月給の総額の10分の1を超える場合には、翌月に繰り越すという方法か、賞与から差引くという方法があります。

減給できる期間は?

基本的に減給できるのは、1回の問題行動に対して1回だけです。そのため、懲戒処分としての減給をする場合、1年間減給とか半年間の減給するといったように、一定期間の間ずっと減給が続くといった減給はできません。減給処分には例外があります。詳しくみていきましょう。

減給における例外とは?

減給処分には例外があります。詳しくみていきましょう。懲戒処分の内容が出勤停止や降格であった場合でも、給与を減額することができます。労基法第91条では

【総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。】

となっていますが、出勤停止や降格による給与の減額は例外です。出勤停止の懲戒処分がなされた場合、民法536条2項で

【出勤停止期間中は賃金が支給されない。】

と定められているので、出勤停止期間中の賃金が給与から減額されてしまいます。しかし、これは減給の懲戒処分による制裁ではなく、出勤停止の制裁による結果なので、一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えていても違反にはなりません。

また、降格によって一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えた場合も違反にはなりません。こちらも減給の懲戒処分による制裁ではなく、降格の制裁による結果だからです。

減給できる期間は?

基本的に減給できるのは、1回の問題行動に対して1回だけです。そのため、懲戒処分としての減給をする場合、1年間減給とか半年間の減給するといったように、一定期間の間ずっと減給が続くといった減給はできません。

出勤停止や降格による給与の減額は例外

懲戒処分の内容が出勤停止や降格であった場合でも、給与を減額することができます。労基法第91条では

【総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。】

となっていますが、出勤停止や降格による給与の減額は例外です。出勤停止の懲戒処分がなされた場合、民法536条2項で

【出勤停止期間中は賃金が支給されない。】

と定められているので、出勤停止期間中の賃金が給与から減額されてしまいます。しかし、これは減給の懲戒処分による制裁ではなく、出勤停止の制裁による結果なので、一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えていても違反にはなりません。

また、降格によって一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えた場合も違反にはなりません。こちらも減給の懲戒処分による制裁ではなく、降格の制裁による結果だからです。

賞与も例外

従業員の減給処分の回数が複数回あって、減給額が月給の総額の10分の1を超える場合には賞与から差引くという方法があると紹介しましたが、なぜ賞与から差引いても問題ないかというと、賞与も例外だからです。

賞与は,従業員の勤務態度や業績を雇用側が査定して、支払う金額を決める制度です。つまり、賞与をいくらにするかの査定には、雇用側の裁量が広く認められているので、問題行為のあった従業員の賞与を減額しても労基法第91条を違反したことにはならないのです。

ただし、賞与の額が「夏期は基本給の2カ月分」などと決まっており、企業に賞与査定の裁量がない場合だと、賞与からの差し引きでも、減給の制裁として労基法第91条の制限にかかる場合があるので注意が必要です。

減給する場合の注意点は?

減給通知書の作成の必要がある減給の懲戒処分は、減給の限度額に関するルールを守らなければなりません。減給の限度額に関するルールのほかにも、懲戒処分で従業員を減給する場合には注意しなければならないことがいくつかあります。

減給処分には就業規則の根拠が必要?

減給の限度額は労働基準法の定めに従う必要がありますが、そもそも従業員を懲戒処分とするには就業規則の根拠が必要です。懲戒処分にも種類があり、従業員にどういった問題行為があった場合には、どの処分とするかが就業規則で定められていなければなりません。

通常の就業規則であれば、就業規則の懲戒の項目の中で、どういったケースだと減給処分になるかが記載されているはずです。そのため、従業員を減給の懲戒処分とするためには、減給処分の理由となる問題行動が就業規則の減給処分事由に該当していないとなりません。

重すぎる懲戒処分は無効

従業員の問題行為が、就業規則で戒告や譴責程度の懲戒処分のケースとなっているのに、減給の懲戒処分とするのは、従業員の問題行為の内容と比べて明らかに処分が重すぎます。

そうした従業員の問題行為の内容と比べて処分が重すぎる場合、従業員に訴えられてしまう可能性があります。過去の裁判例でも、減給処分が処分理由となる問題行動の内容と比較して重すぎる場合は、不当な懲戒処分として無効と判断されたケースが多数あります。

就業規則上の手続きを守る

従業員を減給の懲戒処分とするのに、本人の弁明を聞かず、減給通知書を一方的に渡してくる企業もあるようですが、そうしたやり方での懲戒処分だと、懲戒処分を受けた従業員が不当を訴えた場合に裁判で無効と判断されてしまう可能性があります。

就業規則に、従業員を懲戒処分とする場合には「懲戒委員会を開いて処分を決める」、「処分を決める前に本人の弁明を聴く」などといった、懲戒処分を行う前の手続きが記載されていることも少なくありません。

就業規則で定められているのに、本人の弁明を聞かず、減給通知書を一方的に渡して減給の懲戒処分とするのは明らかに違法行為になってしまうので、懲戒処分を受ける従業員に減給通知書を渡す前に、就業規則に懲戒処分を行う前の手続きが定められていないか確認しておくことをおすすめします。

懲戒処分通知書とは?

減給通知書に似た書類に懲戒処分通知書があります。懲戒処分通知書とは、問題行為があった従業員を懲戒処分とする場合に、その処分の内容などを通知する書類です。

減給は懲戒処分の種類の1つなので、減給の懲戒処分となった従業員への通知に、減給通知書ではなく懲戒処分通知書を使うことはできますが、懲戒処分には減給以外の処分もあるので減給通知書を懲戒処分通知書として使うことはできません。

減給通知書のフォーマット(無料のテンプレート)はこちら

減給通知書には、決まった様式(フォーマット)はないので、一般的なビジネス文書の形式で作成すれば問題ありません。ただし、従業員にとって重要なことを知らせるものですから、必ずマナー守るよう心がけましょう。

また、減給通知書は、なぜ減給の懲戒処分になったかを通知するためのものですから、必ず減給となった出来事の詳細や、減給の懲戒処分とした理由は明確に記載しておく必要があります。

減給通知書には必ず書いておくべきことがあるので、ネットやこの記事で提供している減給通知書のフォーマット(テンプレート)を利用するか、参考にしてみるとよいでしょう。テンプレートを利用する場合は法律が変更されている可能性もある為に注意し利用する様にしましょう。

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減給は従業員・社員にとって非常に重要な事!

減給通知書は減給の懲戒処分は処分を受ける従業員にとって非常に重要なことを知らせる書類です。減給のような重い処分をする場合にはいくつかのルールがありますし、注意しなければならないこともあります。 そのため、減給通知書に不備が、従業員とのトラブルの原因になってしまう可能性もあるので、減給通知書を作成する場合には、就業規則をよく確認し、誰が見ても事実が分かる減給通知書を用意しましょう。
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